芸能関係のお仕事をするには

芸能関係のお仕事をするには

一昔前、芸能関係のお仕事情報コミュニティ、みたいなものがオンラインにありました。(今もあるのかな)

そういう志望の人が集って「求人ないよねえ」「どうしたらいいのかな」などと言い合い、たまに芸能関係者(もどき)が先輩ぶってアドバイス。

「そこに入り浸るヒマがあるなら、手当たり次第に紹介を頼める人を探すとか、就職に有利なスキルを磨くとかすればいいのに」と思いましたが……。

それでは意地悪? なので今日は、私(もどき)の知る範囲で、思いつく芸能就職ハウツーを書いてみたいと思います。

芸能関係、すぐに辞める人が意外に多い理由

いきなりですが、まずはこの不思議な事実の分析を。理想と現実が違いすぎるから、かもしれません。

特にイベンターなどは、私たち制作サイドが現場に行く何時間も前から会場の設営。私たちが「お疲れさま〜〜」と帰ってから撤去作業……と、気の遠くなるような激務です。

せっかくコネがあっても、激戦を制して内定しても、一年以内にあっさり退職はしょっちゅう。

私が若いころ、キングレコードでレコーディングをしていた時のこと。ディレクターが「ポスターができたから、一緒に取りに行く?」というので、オフィス見たさでついていったことがあります。オフィスはスタジオの下の階です。

そしてビックリ、「事務机が並んでる!」(笑)

私のイメージでは、レコード会社というのは、おしゃれなサロンみたいな場所。セレブ級のスタッフたちが、優雅に討論してるもの……。ですが現実は、カラフルな宣伝ポスターが壁の一部を飾っているのを除けば、殺風景な普通の事務所。「そりゃ、机はあるよ」と、ディレクターは苦笑い。

芸能関係といっても、商品が公演や記憶メディアや人なだけで、やっている仕事は一般の会社と全く同じです。イメージに踊らされての志望ではないのか、考えてみたほうがいいかも。

志望動機が堅実に描けていれば、面接には有利ですから。

応募多数の中で目立つには

ご存知でしょうが、コネ採用が大部分です。なぜなら商品が人で、引き抜きなどがあれば歩いて逃げてしまうから。そこが物とは違うところで、身元の確かなスタッフがマストな所以です。

コネなしの私が音楽制作事務所に採用された理由は、英語枠。とはいえ芸能大手では、英語スタッフは完全バイリンガルの縁故が条件でした。対して私が勤めていたような個人事務所では、新聞などに求人広告を出すこともあります。(私は英字新聞 Japan Timesで応募)

英語に限らず、求める技能を持つ人が縁故にいなければ公募に。その場合も、競争率は高いです。私の事務所では、小さな広告でも応募者が100人以下ということはなかったです。その中で目立つには、(月並みですが)業務に活かせるスキルや専門分野があること。事務職では、学歴も関係あります。

私の場合は、DAWの走りである編曲プログラム・マシンが扱えたことも、ポイントだったそう。(この事務所でそれを使うことは結局ありませんでしたが……)

面接で好まれるパーソナリティーは、「元気のいい方がやっぱり有利」というぐらいで、他の業界とそう変わらないです。

好きな分野を極めつつ、一般の会社で求められる条件もそこそこ満たしておくこと――がコツでしょうか。

コネ入社はオススメではない

「コネがあったらなあ」という気持ちはわかります。けど前述のように、簡単に就職できれば簡単に辞める、という弊害も……。

それと、紹介者に迷惑をかけないためには、イエスマンにならないといけません。それではいったい、何のために就職したのでしょうか?

「素敵なショーを作ってみたい!」というのが、私の志望動機。なので、社長に向かって「そんな案、ダメですよ!」と言うことも結構ありました。イエスマン社員たちは、目を白黒(笑)

また、某テレビ局のオフィスで「○○さんはコネ入社」といつも蔑みの口調で語られていた男性社員を見たこともあります。(仕事さえ優秀であれば、コネかどうかは関係ないのでしょうが……)

なので、コネがないからと嘆かなくても大丈夫です。

なんとなく近そうなところに近づく

「コネは要らない」といっても、芸能関係の求人情報はどこにでも転がってはいないもの。なので、得意な分野での活動範囲を広げておくことは、情報に出くわす頻度を上げます。

例えば私の場合、メジャー・レコーディングのオーディションは、練習スタジオの掲示板で見ました。遊びでパーティー・バンドをしていた時に、リハに行ったスタジオです。

映画業界の知人が、「映画関係の仕事をしたい」という若い女の子たちにこんなアドバイスをしていました。「手持ちの機材でいいから、何か映画のようなものを撮ってみれば?」

そうすれば制作上の知識は身につき、疑問点の答えを探すうちに、やりたい仕事のビジョンが明確に。賛同者も現れ、チャンスをくれる関係者がいる環境に、徐々に引き寄せられていく――といった意味のアドバイスでしょう。

求人誌には載らない求人にも、このように足を伸ばせば出会い易くなります。シアトルで参加した映画音楽作曲講座の講師ランス・ヘイズも、同じようなことを話していました。

彼はマイクロソフト系のゲーム・ソフトの作曲家。受講生からの質問「どういう経緯でマイクロソフトの仕事を?」に対して、「知っている範囲での活動を徐々に広げているうちに行き着いた」と答えていました。

音楽に限らず、アナウンス関係、俳優や声優、シナリオ系など、どの分野でも同じではないでしょうか? 好きなことに熱中するうちに、きっとぴったりの道が見えます。

まとめ

志望者が多そうな芸能関係。ですが、「○○のようなエンタメ創造に参加して、自分の○○のスキルを活かしたい!」といった微細なビジョンのある人は、おそらく一握り。

ですから、可能性は全然あります。ユニークなビジョンとそれに必要なスキルを同時に育てながら、チャンスの匂いがする方向に少しづつ近づいていくのが、結局は近道かもしれません。

学歴、パーソナリティー、ビジョン、即戦力の特技、熱意……と、求められる求人像は一般企業とほぼ変わりません。なので、臆することなくチャレンジしてみてはいかがでしょう? Good luck!

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