ワーキング・ママ後遺症

ワーキング・ママ後遺症

子育て後の未来にトリップしてみたことはありますか?

今日は「子育て後あるある」を、トリビアとしてまとめてみました。育児が苦手で、音楽やメディアのお仕事に気をとられていた失格ママの懺悔集です。

同時進行グセが抜けない

“Savor this moment” (今この瞬間を味わおう)というのは、大好きなフレンチふうヨーグルトOuiの蓋の裏に印刷される一言メッセージの中のひとつ。

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当然ながら、フルタイムのワーキング・ママには、こんな贅沢は不可能。朝のヨーグルトを食べながら、ニュース(語学講座)を聞き、子どもの要求を聞き、今日のスケジュール帳に目を通し、出勤前の家事の段取りを考える……

最低でも3つ4つは、脳が同時進行してますよね。

素麺茹でながら天ぷら揚げる、は当たり前。その間に電子レンジや小口コンロでは別の料理が進行中。

もう娘が嫁いで、仕事も自分ペースなんだから、ヨーグルトの一口くらいは「今」に集中して味わっても良さそうなんだけど……。

習慣の力とは恐ろしく、これができません!

脳って、本来はシングル・タスク用にできているそうです。コンピュータみたいに、「ファイルをダウンロードしながらword書類を作成」なんてことには、向いてないのです。

「ながら」が上手いとされる女性にしても、負荷はかかります。どうかお気をつけて!

一日先の未来すら計画できない

一日先のリスクなら、常時予測して対応策を用意していました。万が一、子どもが熱を出したら?等々。

私が勤めていた音楽事務所では、「タレント担当制」といって、コンサート・ツアー1本につき責任者は一人でした。

休んでも同僚に迷惑をかけにくい反面、「自分の責任でコンサート・ツアーがふっ飛んでしまう!」

恐怖でしかありません。リスクに慄きつつ、期限に追われる日々。

本来なら、育児も仕事も、リスク抜きで明日を夢見る時間があってこそ、楽しめるのでしょうに……。

子どもが小さい時は無理。「万が一」とは「四が一」ぐらい。しょっちゅう熱は出しますよね。 

だけど子育て後は、「万が一」は「万が一」。リスクを考える代わりに、素敵な未来をプランニングすればいいのに……。

育児トラウマが染みついてしまって、できません! 人生、楽しまないといけませんね。

自分軸で選べない

ワーキング・ママは、自由時間とは無縁。さて、偶然ぽっかり時間が空くともう、何をしていいかわかりません。

例えば、娘が高校生の頃のある日。ピアノのレッスンの時間を勘違いして、現地で1時間の空きができました。

教室はファッションビルの上の階。なので、ビル内でウインドウ・ショッピングとか、各階にあるカフェなどで、時間潰しできそうなものだけど……。

当時の私は、野菜の値段は知っていてもカフェのメニューの相場なんて知らなくて。お品書きを見ても判断がつかないのです、どのカフェがいいのか……。

担当タレントのお茶の好みならわかるけど、自分の好みなんて考えたこともないし……。仕事服しか頭にないので、ファッションビルのトレンド服って理解不能だし……。

で、目についたネイル・サロンに入ることに。「手足のマニキュアにワンポイント・アート付き」なら、1時間で可能とのこと。「1時間後にピアノを弾いても大丈夫?」とお聞きしたらオーケーだったので、お願いしました。

この時、「さすがにまずい」と気がついて。

何ごとも「子どもが喜ぶか」「家族や家計に有益か」で決めるのが、母親の性。ですが、時には自分に「これはどう? 好き?」と訊きまくって、自分軸で選ぶ練習も大事ですね。

処方箋……空の巣症候群の誤解を超えて

以上のような挙動不審は、育児終了とともにキッパリやめられるものではありません。加えて「空の巣症候群」に対する、世間や自身の誤解にも悩まされます。

役割りを終えてヒマをもてあました症候群、みたいに言われるのは心外だし、そもそも的外れ。

ワーキング・ママは、相変わらずヒマなし……どころか、育児で遅れた分の巻き返しで更に忙しいので、「ヒマ」は当たっていません。

専業主婦も大差ないでしょう。例えば、専業主婦のママ友Tさんは、家事は完璧で子育ては大成功。趣味は多彩で、プロ級の手芸はセンス抜群。生き甲斐にも空き時間活用にも、困ってはいません。

その上、子育て後は「自分探し」として大学の社会人講座に出たりで多忙。自称「空の巣症候群」でしたが、ヒマな訳ではないのです。

50歳が寿命だった昔なら、なかったであろう精神状態。子どもに必要とされなくなった空虚感だけは、誰にもどうしようもありません。

「空の巣症候群」は熟年ママの”メンタル問題”であるかのような風評は、間違いではないでしょう。ただ実際には、子育て中の悪習が抜けない”行動問題”でもあるように思います。

その一例が、今日挙げた「ワーキング・ママ後遺症」。こちら行動面は、自分次第でケアできそうです。

思い当たった方も、これからの方も、上記がご参考や予防になれば……。

番外編……これからの育児とは

つい最近まで、子育てを「いかなる犠牲をも払う価値のあるプロジェクト」とは思っていませんでした。プライオリティは仕事の方が上でした。

娘が結婚式で読んでくれた私への手紙に「生まれ変わってもまたママの娘になりたい」とあって、「こんなダメママなのに」と感激して泣きましたが……。

仕事をかなり犠牲にしての育児だったので、正直なところ「勘弁して」と思いました。「次の人生があるなら、決して子どもは要らない」と。

ママ世代の大学クラスメイト3人組は、意欲的な才女ながら自立志向がままならず。それぞれのワンオペ育児や教育問題に迫る、平成版「女の一生」!

ところが、ワーキング・ママとしての娘の結婚生活を見ていたら、考えが変わったんです。ハイスペックな旦那さまは献身的で、娘は私にできなかったライフ・スタイルを実現しているから……。

今では「お願い、何度生まれ変わっても、きっと私の娘になってね!」と祈る気持ちです。人生、最後の最後までわからないもの。

子育てに価値があるかどうかなんて知らないけれど、トライする価値は必ずあります!